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自然博物館副館長 石鍋寿寛さん
 豊かな自然に恵まれた県立観音崎公園。 通称たたら浜に自然博物館が多くのボランティアの人々に支えられ活動を続けている。厳しい財政還境のなか優れた研究の中心に石鍋副館長がその存在感をしめしている。0.1tの大きな身体とやさしい「まなざし」。よく響くテノ−ル。こうした外的要因もさることながら活動に貢身的にとり組む姿こそ、観音崎の何よりも貴重な財産といえよう。



牧島: 副館長として、研究員の総括者としてボランティアの指導者として毎日ご苦労様です。

石鍋: 先生も博物館にさまざまなご協力と応援をありがとうございます。

牧島: 石鍋君の出生から観音崎の立合いまでの経過を聞かせて下さい。

石鍋: 生れは昭和30年、今年で47才になってしまいました。東京の下町、千住で誕生しました。父は協和発酵で酒造りをしていました。自分でも驚いているのですが10人兄弟なのです。男8人、女2人で私は長男で一番下の弟は、22才。この弟と私だけが独身であとはすべて結婚しています。

牧島: 10人兄弟とは現代の奇跡だね、下の弟はまだ22才、早く素晴らしいお嫁さんをもらわないといけないね。

石鍋: 研究より結婚の方が難しい。

牧島: 研究との出合いには、どんな筋書きがあったの?

石鍋: 子供の頃から「つり」等を通して、淡水魚に興味がわいていまして・・・。関東地方には6種類の「タナゴ」が存在していますが、関西、特に「琵琶湖」中心に5種類の「タナゴ」がいることを知り、大学は同志社に。 そしてボ−ト部に入部しました。ボ−ト部が「琵琶湖」にありましたので進路が決まりました。

牧島: 「タナゴ」「タナゴ」で学校やクラブ活動も決定する、これは尋常ではないね。

石鍋: もう本格的に「タナゴ」の美しさに魅せられて・・・。魂を奪われた状態になりました。それで「タナゴ」の研究に没頭するため大阪教育大の大学院に進みました。

牧島: 私も興味はあるし、美しく華麗ともいえる「タナゴ」特に「ミヤコタナゴ」のオスは別格の「美」があることは認めますが、そこまでうちこめるものかね。

石鍋: 大学院の生態学教室ではまさに「タナゴ」一辺倒でした。そして「タナゴ」の縁で、東邦大学教授の幡井 勉(はたいつとむ)先生にスカウトされ、この観音崎の地で魚の勉強を・・・ということになり、横須賀に来る事になったのです。

牧島: もともとこの観音崎は「真鯛」の人工孵化の成功で、全国的に名を成さしめたところであるしね。

石鍋: その通りです。この観音崎は自然環境の面でも極めて特殊なのです。特に「たたら浜」は。

牧島: どんな特徴があるのですか?

石鍋: たたら浜の砂は白いのはご存知ですね。

牧島: 子供の頃からよく知っているよ。

石鍋: あれは全部貝殻なのです。

牧島: そういえばそうだね。どうしてそうなるの?

石鍋: 黒潮の一部が、太平洋から東京湾に流れ込みます。東京湾の水を押し上げて、地表からと言うより海の底から潮がエレベータのように湧き上がり「たたら浜」に到着するのです。浅い海に、一部の黒潮の通る深い溝があり終点がこの浜なのです。この湧き上がる海流を「湧昇流」と言います。海の底から貝やプランクトン、様々な栄養素をこの「たたら浜」に運んでくるのです。だからこの浜は生態の宝庫なのです。

牧島: そう説明されると、宝物を見つけたような気持ちになるね。ところで「タナゴ」の現況は?

石鍋: 勿論、「世界一」と自負しています。天然記念物の「ミヤコタナゴ」は平成8年から繁殖をはじめ、現在5,000匹成功しています。又、中国には平成7年と8年と2回40日程度、研修に行きまして、この種の繁殖にも成功しました。韓国タナゴは30種20,000匹、現在飼育しています。

牧島: しかし「ミヤコタナゴ」の美しさは群を抜いているね。

石鍋: そうですね。今韓国タナゴと同じ環境で飼育していますが、「きれい」だけではなしに、なかなか強いですよ。ヨーロッパには40種の「タナゴ」が生息し、極東アジやには39種が生息しているのです。

牧島: しかし自然環境の崩壊のなか、将来は危険な状況にある。

石鍋: 「タナゴ」は淡水魚であり、その種の保存のため「マツカケ貝」「カラス貝」といった淡水二枚貝に卵を産ませなければなりません。従って、この二枚貝が生息できないとタナゴは生きていられないのです。その為の保存が大事なのです。

牧島: 生命の循環サイクルからいっても、自然の復活や水の浄化は不可欠になるね。

石鍋: もう「大自然」の復活や復元はとても無理です。それに、すべての生き物が人の暮らしと密接な関係にあるのです。人の訪れぬような秘境には「ホタル」はいません。人間の生活と「小自然」の復活が必要なのです。

牧島: 「小自然の復活」いい言葉だね。ところで湘南国際村からの子安川と前田川の自然に危機感をもっているのですが・・・。

石鍋: 子安川はきれいに整備され「親水性」も高まったのですが、環境的には問題もあります。

牧島: 国際村が誕生する前は、どんな川だったのですか?

石鍋: 簡単に言えば「えび」とりや「カニ」とりが可能だったのです。

牧島: 今では無理なんですか?

石鍋: 復活は可能だと思います。

牧島: どうしたらできますか。

石鍋: 植生を戻すこと、コンクリートの川を自然な状態に復元しなければなりません。

牧島: どんな植生を?

石鍋: あの地区には、「タブの木」「ハンの木」が存在していました。又川岸には「ニリン草」そして「春の妖精」と呼ばれるスプリング・ユフェメルの群生がありました。「ニリン草」は薬草なのですが毒性の「トリカブト」とよく似ていて・・・。「えび」も上流から「ヒラテテナガえび」「スジえび」「ヤマトヌマえび」「ママえび」とかなり系列的に存在していました。「カニ」もそうです。「もずくガニ」「さわガニ」「毛ガニ」と清流に生息していました。

牧島: 話を聞いているだけで、自然が甦るようだね。

石鍋: 人の暮らしと自然保護は永遠のテーマですね。でも、100年に1回の災害を想定して、安全性のみ追及するのはどうかなと言う感じはします。もう、この日本で特に都市部において、大自然の復活はできようはずはありません。必要なのは「小自然」の復元なのです。

牧島: 貴重な話をありがとう。

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