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11月26日〜28日 短い期間ではありましたが、台湾(中華民国)の立法院(国会議員)の選挙戦を視察してまいりました。その報告と選挙の結果、台湾の行く末についてリポートします
〈炸裂するエネルギー〉
 民主党党大会 ステージ上では「のぼり旗」が揺れている

 最初の訪問地は台湾南部の巨大都市「高雄」でした。街中にあふれる「のぼり旗」。特に公共施設である公園、道路、街路樹にところせましと林立する大きな旗は、この国の選挙の勢いを感じました。又、広告塔やネオンに至っては、そのすさまじさに経済的な関心と興味をよびおこしました。幸い後半戦の山場にさしかかった時期であり、与党「民進党」の大会に参加できました。 陸上競技場にはトラック、観覧席ともに満員。夜10時になろうとしているにもかかわらず、2万人程度の人々の熱気が伝わります。前座の応援者(行政府のトップ、いわば大臣クラス)の一言、一言にドラが鳴り、ラッパがこだまし、数千本の「のぼり旗」が揺れます。花火があがり、アドバルーンも夜空に舞っています。外では屋台が元気な声であおっている。まさに「真夏の夜の夢」といったムードです。最後に登場した「陳水扁」総統。強烈なアジ演説に会場は熱狂のるつぼでした。少数、与党の苦労話の一節ごとに会場は揺れ、必死の想いが伝わります。国民党批判でそのボルテージは一層高まり、台湾語での台湾の「スピリット」に話が及ぶと、会場はまさに一体化。熱気は天にもとどくかのようでした。
 
〈近代政党・民進党〉
 民新党キャンペーン本部 候補者にエールを贈る
 
 翌日は民進党の本部、並びにキャンペーン本部を訪問。党幹部やスタッフ、候補者とも交流を深めると同時に選挙戦の内容、更に選挙後の政局運営にも言及し、様々な勉強をしてきました。 特筆すべきは本部での対応でした。民進党のパンフレットは党の歴史からスタンス、もちろん政策の概容が記述されているのは当然として、英語バージョン・日本語バージョンまで用意されているのには驚きました。英語はもとより、国交のない、いわば外交ルートのない日本の為に、日本語のパンフレットが配布されたのは感動ものでした。自民党のパンフで英語や中国語、ハングル語の資料があるかどうか疑問です。そうした点からも日本に寄せる期待の大きさを実感しました。又、本部の壁には各選挙区の予想得票表がシンボルカラーである「グリーン」で色分けされており、詳細なデータの集積を裏づけていました。ともすればイメージ先行の政党と解釈していた私にとっては、印象が違い大きなインパクトとなったのです。グラフはグラフとして評価しますが、それを公開する自信が感じとられたのです。
 
 Taiwan News 2001年11月28日掲載記事激励のビラを贈る

  更に次のキャンペーン本部では、候補者全員が揃う記者会見の時間に訪問。30台を超えるカメラの放列のなか、激励のビラ(布製)を候補者に贈りました。日本流のパフォーマンスが受けのか、日本からのメッセージがニュースバリューがあったのか、テレビ、新聞で大きく報道され、びっくりしました。同時に日本との民際外交に対する熱い期待も感じました。
 
<伝統と組織を過信する国民党〉
国民党本部 林豊正氏と議員団

 最終日には台北の国民党本部にて幹事長の林豊正氏と面談。前日の民進党でのパフォーマンスが報道された後だけに、やや気おくれがあったのは事実です。しかし、そんな思いを吹きとばすような林豊正氏の対応は、大きな人間性と親しみやすさを与えてくれました。 もっとも国民党は50年与党を続けた風格があり、世界で最も資金力のある政党であります。党本部も、あたかも行政院を見おろす大きなビルであり、その偉容は永田町の自民党本部とは比較になりません。まさか2000年の初の大統領選挙で敗北を喫するとは考えていなかったので、行政院と対峙する形になろうとは想像していなかったのでしょう。林豊正氏は国民党の勝利を確信しており、第一党の座は揺るがないと力説していました。しかし国民党は組織政党であると自信を深める発言に、私は危険な場面を想定したのも事実でした。
 
〈アイデンティティーを求める台湾〉
 一つの中国。これは世界共通の認識となっています。13億とも15億とも言われる中華人民共和国。この中国に比して、人口2300万人の台湾の存在は余りにも小さい。 しかし台湾には20世紀後半の驚異的な経済成長があり、1年で7%〜8%の成長は東南アジアの優等生とも評されていた自負がある。併せて、いつかは本土(中国)の民主化に期待を寄せている局面も否定しえない立場でもあり、そのアイデンティティーは揺れている。そうした中での総統選(大統領選)で李登輝前総統の影響は限りなく大きい。昨年の陳総統の誕生と、引退した国の父とも呼ばれる李登輝の国民党からの除名が、より台湾の事情を複雑にしている。台湾は中国から来た外省人と台湾にもともと居住していた本省人によって構成されている。もっとも外省人も二世、三世の時代となり、ニュアンスは30年、40年前とは大きく変化してきている。もともと国民党は大陸から渡り、50年の永きにわたり台湾を統治してきた実績があり、中国とは一線を画すものの、中国との対立は絶対に避けるべきとの信条がある。同時に経済的に躍進する中国本土のエネルギーを台湾経済の基盤として構築している人々も多く、これらの人達によって台湾の発展の基盤となっていたことも否定しえないところなのである。一方、台湾本省人は日常でも台湾語を話し、中国の民主化には疑問をもっており、国際世論の高まりと同時に台湾人の誇りによって独立をも模索している。しかし、こうした人々も巨大な中国の軍事力には対抗する手段がない事も理解している。
 
〈心と頭は別?〉
 熱く燃える独立への期待、それに反する巨大な中国の影。 この間で台湾のそして台湾人のアイデンティティーは激しく揺れているのが実情だ。個人的な感情としては歴史的な経過からしてみても、台湾が一つの国として認知されるのが望ましいと考えざるを得ないのである。
 
〈選挙結果〉
 台湾の選挙は国民の直接投票による行政院、大統領選挙と225席(うち比例は49人)を中選挙区(複数当選)で争う立法院選挙に分かれている。 今は民進党の陳水扁氏が大統領であり、首相以下、行政スタッフは陳氏が指名しており、立法院では少数与党となっていた。12月1日の投票結果は第1党(野党)の国民党が大惨敗を喫した。110議席から68議席に落ちこみ、連戦主席の退陣も噂されている。一方民進党は65議席から大躍進し87議席を獲得した。しかし過半数には遠く及ばず、これから連立内閣を構築しなければならない。国民党を除名された李登輝氏は台連と呼称される新しい党を興し、1名から13名の当選者を誕生させた。全く基礎のないなかから13議席得たことは流石と言わざるを得ない。この合計は100議席であり、未だ過半数113議席には届いていない。安定した政権を保つためには、陳、李二人の総統が無所属議員をひきこみ、更に国民党の内部にも造反者をつくり、113議席を達成させる責務があり、その遂行に全力投球しているのが現状である。惨敗した国民党から李氏に近い人達、及び圧倒的に本省人が多い南部の議員が与党に合流するのは充分予測されることで、近々には与党が過半数を制するであろうと思われる。こうした政局に対し、今沈黙を守っている中国がどうでるか予断は許さない。いづれにしても台湾独立の国民意志決定だけは真実として受けとめるべきであろう。
 

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