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 過ぎ去った2000年、20世紀最後の年として世紀末を象徴するかのように、 様々な問題が提起された。政治においても、倫理感、使命感の欠如から、国民の信頼と支持を失い、 最も求められるリーダーシップのかけらも発揮されることはなかった。 経済は更に深刻で長びく不況から脱却できず、地価や株価の下落によって金融不安は一向に改善されず、 個人消費の伸び悩みから不景気は社会不安の増大につながっている。国家の柱とも云うべき教育の荒廃は目をおおうものがある。
 
  「年令(とし)聞かれ、答えに困る17才」こんな川柳が如実に現実を語っている。 犯罪の凶悪化、低年令化とともに、過去には想像もできない事件が発生し社会を震撼させたのである。 こうした20世紀の負の遺産をいかに解消するか処方箋をしっかりと論議し 実践しなければ、夢と希望に輝く21世紀を実現することはでき得ない。 しかし残念乍ら、騒々しい「成人式」問題で新世紀の幕明けとなった。全国各地で混乱と騒ぎが主役の成人式が報道された。 そして遂に逮捕者までだすに至った。 国民あげて20才を祝い、将来の社会の担い手として、 その責任と自覚を持つことを願って開催されるのが成人式である。 そのような期待を見事に裏切ってくれた成人式は報道されたものだけでなく、 全国で行ったすべての成人式は似たりよったりであることは否定できない。 こうした混乱から「成人式」のあり方を見直す自治体も増えそうである。 しかし、どう見直すにしろ、決して成人におもねり、 彼らの好きにさせればよいという結論だけは断じて許されるものではない。 こうした指導力を回避してきたことが騒乱を生む原点であったことを見据えなければならないからである。

  成人式の心に痛む話題のなか、1ヶ月おくれのささやかな小さな小さな「成人式」が実施された。 「横須賀市肢体不自由児者 父母の会」が主催する成人式がそれである。 会場は市の福祉会館の8階にあるレストラン。 父母の会の会員は91名。平成10年度に6人、11年度に4人、そして今年は5人の子供達が成人をむかえた。 今年成人となったのは、石井 徳秀君、岡田 里美さん、木村 麻衣子さん、 富沢 雄太君、長島 剛喜君。富沢君は当日欠席であったが他の4人は、車椅子で出席した。来賓からのお祝いの言葉のあと、 4人は仲間から花束を受けとった。そして父母から子供達にかわっての謝辞があった。 ほんの短い成人式だった。 しかし、祝福の輪は大きくひろがり、微笑と拍手と涙はつきることがなかった。私も毎年この式に出席させていただき、心洗われる想いと、 バリヤフリーの社会づくりに何ができるのか自らに問いかけのできる素晴らしい意義深い会なのである。 特に今年は一層その想いを強くもった。私の感動を多くの人々に伝えたい。そんな想いをこめて「もう一つの成人式」を報告したい。

木村麻衣子さんのお母さんは次のようにおっしゃいました。
  「麻衣子は昨年、先輩たちの お祝いをするため、成人式に出席させて頂き、花束も手渡すことができました。進行性の病気のため多くの不安を抱えてはいますが、今日の日の参加を楽しみにしていました。昨年5月には重い肺炎にかかり、2ヶ月間の入院もしました。でも今ここに元気に成人式を迎えることができ、こんなに嬉しいことはありません。この二十年間、周りの人たちの励ましの中生きてきて、大きな感動を憶えています。麻衣子の服は、今までは子供服売り場で買っていましたが、 今回はじめて婦人服売り場で9号サイズのワンピースを買いました。あちこち直さなければと着せてみました。これがなんとピッタリ。私より大きくなった胸が誇らしげです。
 初めてのお化粧、口紅を薄く塗って、イヤリングもつけてみました。皆さん、20歳になった麻衣子を見てください。大きな山をやっと乗り越えた感じではありますが、麻衣子の頑張りと多くの人々の助けを借りながら、これからも一日一日を大切に楽しく過ごしていきたいと思います。本日は有難うございました。」これがお母さんのお礼の言葉でした。 20才になった新成人にこの母の声を聞いてもらいたい。 マスコミや報道の方々にこのような式を取材して欲しい、そして伝えて欲しい。 世の人達すべての人に、この話をして欲しい。小さな愛の灯はけっして消えることはない。 いや、消してはいけないのです。

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