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 新型インフルエンザの猛威はとどまることを知らない。すでにフェーズ5に達し、ボーダーレスの危機管理が求められている。国内においても連日、死亡記事に接することとなり、学級・学校の休講も報じられている。

【牧島功・マッキーズ・eye】混迷する新型インフルエンザ対策

  新型ワクチンの接種も10月19日より開始され、本格的(国家的)対策が講じられるようになった。

 しかしワクチンの生産量によって、接種の優先順位が提示され、全国民の接種までに様々な問題が存在することは明白である。

 現在提示されているスケジュールによれば、優先接種対象者は

1. 医療従業者(約100万人) 10月19日の週
2. 妊婦(約100万人)及び基礎疾患を有するもの(約900万人) 11月中旬
3. 1才〜小学校3年の小児 (約1,000万人) 12月後半
4. 1歳未満の小児の保護者(約200万人 1月前半

となっており、その他として小学4年〜高校生(約1,000万人)は1月の後半。高齢者(65才以上)(約2,100万人)は2月の後半となっている。

 次に諸課題について問題提起をしておきたい。

 特に政府のバックボーンとして「地域主権」「国民の目線」が掲げられており、こうした哲学と現実の課題とのギャップをどう対処するのか。疑問な点も多々存在していることを指摘せざるを得ない。

<1.総論>
   新型インフルエンザ・ワクチン接種事業は国民の健康危機管理政策として位置づけられていると確信するが、財源・費用について明確な発表が為されていない。

 国産ワクチン生産量は2,700万人分とされており、外国ワクチン5,000万人とされているが、海外のワクチンはいつから配布できるのか不明である。スケジュールは前述のとおりであるが、このスケジュールどおり実施されるのかどうか、遅延の責任は誰がとるのか、よく解らない。
<2.スケジュール設定>
   スケジュール設定に関して、国は自治体の大小を全く考慮せず一律に設定、併せて自治体への情報伝達が極めて遅く、医師会、医療機関、卸売業者にも多大な負担を強いている。

 政治主導を強調するあまり、行政との関係が良好ではないのかも知れない。医師会に属さない医師も約3割存在しており、その対応は自治体に丸投げされており、政府は無関心を決め込んでいる。
<3.制度設計>
   ワクチンの接種回数について1回なのか、2回なのか、といった基本的な点で判断が揺れている。

 国民にとっては接種費用、1回目3,600円、2回目は2,550円となっており重大な関心事である。又、2回目の接種が1回目と違う医療機関の場合は、2回目も3,600円となっており理解されにくい。
<4.供給計画>
   前述したとおり輸入ワクチンの供給の時期が不明なことと、輸入ワクチンの臨床検査は充分なのか、検証の必要があり、タイム・スケジュールは流動的である。
<5.ワクチンについて>
 
  医療機関に配布されるワクチンは1mgパッケージと10mgの2種類ある。

  1回の接種は0.5mgであり、開封すると24時間で効力が喪失するので、使いきれないワクチンの費用負担はどうするのか、医療機関、自治体、国、誰が補填するのか明示されていない。

  当然、残余のワクチンは破棄されることになるが、処理方法について明確な指示は未だに示されていない。

  残余ワクチンは下水道放流と噂されているが、それで良いのだろうか?又、パッケージの処理は、当然、注射針と同じように医療型廃棄物となり、その処理を誰が負担することになるか?依然として答えはでていない。
 

 次に各論の疑問点について整理をして指摘したい。

<低所得者対策について>
  今までの経緯を検証すると
8月26日 国は接種主体であり、都道府県、市町村に負担はかけない。低所得者接種は別途検討。
9月8日 自治体による格差は認めないことを明言。
9月17日 費用負担について国1/8、都道府県1/4、市町村1/4の考え方が示される。
地域によっては国が接種主体である前提が崩されると反発。又、地方の財政状況から予算が組めない。議会との係わりから早期対応は不可能との声が挙がり、この問題については未だ未解決である。
<今後の対応について>
   負担費用対象者を生活保護世帯、市町村民税非課税世帯とすることとなり、その数は国民の1/3程度と想定される。その他、市町村の実情によって対象者の範囲を別に定められることにした。

  ここで前述した自治体における格差は好ましくないとした前提が崩壊し、国民の均一なサービスは受けられない事態が引きおこされた。

 特に東京都港区は全ての区民に無償を明言し、杉並区では1/2補助を打ちだし、同じ国民なのに、都民なのになぜ違うのか、とても理解は得られない。
<ワクチンの安全性について>
   ワクチンの副反応(副作用)は無いのか?

 この疑問は医師間でも論議されているが、何故か、政府もマスコミもとり挙げられていない。すでに健常者200人に接種され、2名の副反応が報告されている。この副反応は高度な有告事象と認められており、1%の副反応はとても無視できない。全国民の1%の副反応、妊婦や高齢者、小児、基礎疾患者ではこの数値も高くなる可能性もあり、看過できない。

 政府は正直に事実を公表し、副反応の責任は誰がとるのか、製薬会社なのか、医療機関なのか、国なのか明示すべきである。

 アメリカ合衆国では天然痘ワクチンの接種を呼びかけているが、副反応について、その比率を明らかにし、責任についても公表されている。 危機管理に対する国民的認識を高揚する為にも、国家の責任について確固たるものにする為にも、もちろん国民の健康、命を守るためにも、今、日本は自らの危機管理を試されているのかも知れない。
<負担軽減対象者についての問題点>
   軽減対象的は医療機関に自ら、生保者、非課税者であることを証明しない限り、軽減を受けられない。市町村で証明書を受領する必要があるが(概ね事務手数料400円)この費用を誰が負担するのか定まっていない。申請者なのか、窓口の市町村なのか、国が主体者として責任を持つのか、未だに未解決である。

 又、同時に接種の為に、証明することが個人情報との関係があるのかどうかも議論されることもなく、将来の問題になる可能性は否定できない。こうした判断は市町村で出来るものではなく、政府は明確な方針を国民に示さなければならない。
 要するに国は代理受領制か償置方式か、どちらの方式をとるか、地方に丸投げしているだけなのである。
  前述したように、代理受領の場合には必ず「証明」が必要になるのであって、自治体の負担は増大し、対応に無理が生じる。

 償置払いの場合、窓口義務や口座振込の手続きが発生し、対象者の数からいって、地方の負担は大きく、対応は不可能とも断言できる。
 いずれにしても、全ての国民に国策としてワクチン接種の費用は国の負担が当然であり、優先順位のみを定め、国民の負担無しで着々とすすめることが肝要なのである。

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