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マッキーズeye【818円の謎】
 ワーキング・プアや低所得者の増大が大きな社会的課題であることは論を待たない。誰でも安心して暮らしが継続できる事に最大の達成感と満足感を共有するだろう。

 そのために各都道府県の最低賃金を設定することは妥当なことと理解はできる。 又東京・神奈川と沖縄・北海道で賃金が違うことも解かる。 しかし決定にあたり“生活保護費”と対比されている点は、いささか違うと考える人は多い。 保護費は福祉。人件費・最低賃金は経済・雇用の政策課題と考えるのが妥当である。
マッキーズeye【818円の謎】
 政治・行政は818円(神奈川県の最低賃金・時給)が中小零細企業・商店や個人事業者にどのような影響を及ぼしているか、実経済活動の中でどう評価されているか、しっかりと検証しなければならない。

 この政策がワーキング・プアの減少や雇用の拡大、経済の活性化の原動力となっているか、探求するのが政治・行政の責任なのである。
 板前見習いのA君の言葉を噛みしめて欲しい。高校卒業後、調理学校に通い、小さな料理店の板前修業中である。オーナーの配慮で正社員である。
マッキーズeye【818円の謎】
 朝一番から板長に連れられ市場に出向き、魚の勉強を続けている。この冬の寒気は眠気も飛ぶが身体にきつい。閉店後の皿洗いや後片付けも楽ではない。しかしA君には夢がある。きちんと修行し、いずれは育て励ましてくれた母親と二人で店を持ちたい。
 夢の実現のためにはどんな苦労も勉強のうち。ひたむきな姿に先輩やお客様の評判も上々である。
 そのA君が涙ながらに珍しくポツリと語った。

今月から給料が下がりました。もう僅かな貯金も出来ません。

 仕事ぶりや働き方に問題があるのかオーナーに聞いた。

「彼はよくやっています。今時の青年とは根性が違うし技術も格段に向上している。しかし店の存続を考えると給料を下げざるを得ない。女子アルバイトの時給を818円にすると正社員の人件費を削る以外に術がないのです。本当に可愛そうだが仕方がない。」

 A君の魚河岸通いも、後片付けも勤務外として計算し、818円を維持すると言う。A君の給料を実労働時間で割れば700円位だと語る。

 A君のささやかな希望は達成されることがないのだろうか。夢を持たず、難しい修行に耐えることは可能なのだろうか。暗い気持ちになった。このような事例は枚挙にいとまがないのである。

 A君は成人式にも出席しなかった。同級生には会いたいと思っていた。しかし晴れ着も背広も持っていないし、借りてまで参加する意味はないと考えていた。

 借り衣装代は貯金に廻した。外では同世代の男女が酔って奇声をあげていた。店で共に働く女の子の姿もあった。晴れ着に身を包み、お揃いのマフラーが眩しく映った。男子の同級生が髪を金髪に染め何か大声で叫んでいた。
マッキーズeye【818円の謎】
 A君の想いが全てだとは思わない。この現実の源が最低賃金制にあるとは断言できない。しかし考えるべき課題であることは真実である。

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